BLOG

京都で活動する演劇団体『空降る飴玉社』のブログ

小説:好きに語ろう『BAR追分』

こんばんわ◎
空降る飴玉社の加藤です。

最近はDVDでひたすら映画を見ています。
ドラマのスピンオフも見たりするんですけど、メイキングが時々ついていて、メイキングが特典でついているものって現場の雰囲気も垣間見ることが出来て、それだけでとても面白いですよね!最近のオススメは『かもめ食堂』でおなじみの荻上直子監督の『トイレット』です◎

さて今回も語って行きましょう!


f:id:sky_candydrop:20161120220927j:plain
『BAR追分』伊吹有喜

くろねこに誘われて、バー追分で渇いたのどと心をうるおしませんか?

「ねこみち横丁」の地域猫・デビイに誘われて扉を開けると、そこはBAR追分―――。昼は「バール追分」で空っぽのお腹と心を満たし、夜は「バー追分」で渇いたのどと心をうるおすことのできる店だ。昼のおすすめはコーヒーやカレーなどの定食類、夜はハンバーグサンドをはじめ魅惑的なおつまみで本格的なカクテルなどを楽しめる。今日も、人生に迷ったお客様が一人、また一人と……。早くも常連希望者殺到中の心温まる新シリーズ、ここに「開店」!


前回紹介した『オムライス日和BAR追分』の第一弾作品です。
『BAR追分』の方がオムニバスの印象が強く、それぞれの抱える事柄が人生の分岐点ばかりで胸が締め付けられます。けれど温かい食事やきらきらとした繊細なお酒、そしてねこみち横丁の人の温かみで溢れた優しさが、その事柄を抱える人々の背中を押します……。

この話の舞台は実は新宿なんです。私は新宿と言えば、東京でも夜の街のイメージがあるのですが、この『BAR追分』を読んでいると、夜でも雨の日でも、どこか心地のいい優しさを感じて、”都会”のイメージを少ない意味でしかとらえていなかった私は、少し反省をしました……、素敵です……。


この『BAR追分』、作品紹介にも書いてある「常連客希望者殺到中」の通り、常連客になりたいと思う素敵な空間なのです……!私は文字だけでその空間の雰囲気や姿を想像できる言葉ならではの表現がとても好きなのですが、この作品もやはり言葉での表現がとてもとても素敵です!……言葉がダンをしているというか……ストーリーあるダンスをしているような文字の滑らかさと核あるメリハリ差があります…。言葉がとても滑らかで優しい、そして五感を刺激される言葉ばかりなのです!
そしてその五感を刺激される言葉は、料理にもちりばめられています。「牛スジカレー温玉のせ」、「豚の生姜焼き」、「大人のポテトサラダ」、「ゆず蜜のソーダ割り」、「オールドファッションド」、「CCジンジャー」、「ハンバーグサンド」…………。料理名がこの作品の魅力を最大限に引き出しています。そしてその料理やお酒の紹介の表現が本当ににんまりしちゃうようなきらきら、ほくほく、ほろりとしていて……これはぜひ、実際に読んで確かめてみて欲しいです……!!

この話を私は、少し人生で迷いがあったり暮らしを大切にしようと思っている時に読んだものなので、とても勇気づけられました。
本当に生活の中で何も大切にしなきゃいけないのか、見落としがちになりがちなものをそっと掬いあげたお話が盛りだくさんです……◎


よかったら『BAR追分』、『オムライス日和BAR追分』このシリーズ読んでみてください。年末になるにつれ忙しい今日この頃ですが、ゆっくり休むことも必要。そんな時にぴったりですよ◎




では、今週もがんばっていきましょう!
年末はたくさんの行事が盛りだくさん、体調にはお気を付けてください。
私も今年の年末は演劇のWS参加してきます!!演出の事、俳優の事、演劇の事、たくさんたくさん学んできます!!

空降る飴玉社 加藤

小説:好きに語ろう『オムライス日和BAR追分』

こんばんわ、空降る飴玉社の加藤です。
最近はひたすらに次回作品の為の資料集めに奔走しています◎
今までよりも色んなところに出向いたり、見たりする機会がぐっと増えました。この調子で、これからの活動期間に入る前にたくさん外の空気に触れて、のびのびとした見渡せる視点を持って作品づくりに向き合っていきたいです!!!

さて、今回も好きな小説語っていきます!今回の小説は加藤が最近読んだ小説の中での一押しです、と言ってもつい一昨日なんですけどこれはすぐ書かないと……!と思いましたので今回も語っていきます◎◎◎


f:id:sky_candydrop:20161109232035j:plain
『オムライス日和BAR追分』伊吹有喜

有名電機メーカーに勤める菊池沙里は、大学時代にゼミで同期だった宇藤輝良と再会する。卒業して五年、宇藤は「ねこみち横丁復興会」の管理人をしながら、脚本家になる夢を追い続けているという。数日後、友人の結婚式の二次会後に、宇藤がよくいるというねこみち横丁のBAR追分に顔を出した沙里だったが……(「オムライス日和」より)。昼はバールで夜はバー―――二つの顔を持つBAR追分で繰り広げられる人間ドラマが温かく胸に沁みる人気シリーズ、書き下ろしで贈る待望の第二弾。



この小説は第二弾と言われてるように、『BAR追分』のシリーズです。この『オムライス日和BAR追分』を読んでから、第一弾があると知り、今絶賛読書中です。

この作品の魅力は仕事をしている人の姿を生で体感できるところです。この作品では、脚本家志望の宇藤とバール追分の店主の桃子、バー追分のバーテンダー伊藤純の三人が主人公の位置に立ち、話が展開されていきます。
仕事、と言うよりかは仕事含め”働く”、”大人になっても好きなことと向き合うこと”を読みながら考えることが出来る作品です。

そして、題名やBARと言われているように、たくさんの料理が話に華や温かみを添えてくれます。そして、その温かみは料理以外にもたくさんちりばめられています。
舞台となるのは新宿の細い路地をくぐりぬけて行った先にある「ねこみち横丁」。そこには昔懐かしい昭和の飲み屋街の雰囲気がありつつも、立ち並ぶお店は最近の新しいも取り込まれていて、少し変わった雰囲気が立ちこめています。そこにあるBAR追分。昼は食堂のようなカフェのような温かみのあるバール、夜は艶っぽさがありつつもリラックス出来るバー。このBARを中心にねこみち横丁で起こる出来事を楽しむことが出来ます。
出てくる人物の年齢も様々、出てくる人が何を抱えその決断に至ったのかだったり、少しずつ前を向いたり向かなかったり、その人達がその場で暮らすこと、生活すること、働くこと、好きなことを追うことと向き合いながら生きている、そんな人間ドラマがこの『オムライス日和BAR追分』には在ります。

読んでいて、とても身近に感じることが出来る。この小説は、働いている人にぜひ読んでほしい。あと、やりたいことがある人にも。そんな小説です。

そして、そして、忘れてはいけないのが、「ねこみち横丁」のマスコット的存在の地域猫三匹の存在
かわいい!ところどころに出てくる地域猫達の存在がとにかくかわいい!ちょこちょこと出没するこの地域猫が人と人とを繋ぐお話もあって、この猫達も温かみのひとつです◎
舞台が東京だからかもしれませんが、脚本家とか、出てくる人が向き合う職種も演劇をやっている自分としてはとても親近感がありました……◎
この話、日常にとにかく溶け込んでいます。こんな安らげて人間ドラマがある場所、あったらいいのになあ~と思う場所です……!

よろしければ『オムライス日和BAR追分』と『BAR追分』ぜひ読んでみてください……、外に出たくなるようなそんな素敵なお話です!!



さて、今回はここまでで…私は『BAR追分』の第一弾を読もうかしら……。では、一気に寒くなるこの季節、皆さん風邪にはお気をつけて◎


空降る飴玉社
加藤

【期間限定メンバーの募集について】

お疲れ様です。
空降る飴玉社運営部です。
2017年3月公演企画期間限定メンバーの募集についての変更と更新についてです。今回3月公演出演者募集と期間限定メンバー募集を別々に分けることに致しました。上記どちらかだけの参加も可能となっております。こちらでは期間限定メンバーの募集を行っております。


《期間限定メンバーの募集について》
空降る飴玉社では常に“人生の切り抜きを芝居にすること”を目標として作品づくりに力を入れて来ました。俳優、スタッフ共に様々な視点を切り口に、作品を繊細に丁寧につくることを第一に作品をつくってきました。
空降る飴玉社の演劇に興味がある方、知らないけれど自分の人生経験を何かしら作品に起こしてみたい方などお待ちしております。ぜひぜひご応募ください!


募集内容:
俳優、照明、音響、制作

内容詳細:
全体:
・2017年3月と7月上演予定の公演への参加が可能な方。
・2016年12月下旬~2017年7月公演終了までの活動に参加できる方。
・活動開始から月1予定のMTに参加できる方。
俳優:
・高校生~30歳までの役者経験のある女性、または女性役に興味のある方。ブランクは問いません。
・2017年1月週4の稽古、2月週5の稽古に8割参加できる方。
・2017年4月週2~3の稽古、5月週4の稽古、6月週5の稽古に8割参加できる方。
照明・音響・制作:
・演劇での経験のある方。年齢は問いません。
・演劇経験がなくとも、社会人経験のある方。
その他:
・上記部署以外でも興味のある方もぜひご応募ください。内容詳細は全体、照明・音響・制作の欄をご参考下さい。
・3月の参加または7月の出演・参加だけの希望の方も募集しております。その際はメールにて一言お添え下さい。


活動場所及び稽古時間など:
活動場所は主に京都市内の中京区、北区、左京区となります。公演はスタジオやホールなどの公演専用の会場や、カフェやギャラリーなど様々な場所で行います。また稽古時間は平日は18:00~21:00(22:00)、休日は13:00~17:00がメインとなります。

参加費:公演1回につき出演者の方には10000円の参加費をいただきます。

参考までに:過去加藤が書いた脚本を以下の問合せ先にご連絡いただいた方にお送りいたします。参加を迷われている方や、一度読んでみたい方もお気軽にご連絡ください。


応募・問い合わせ:
skycandydrop@gmail.comまでに以下内容をご連絡ください。
①名前(芸名)、②性別、③年齢、④希望部署、⑤ご自身の都合の良い日時

※日程調整を行い、お話の場を設けさせていただきます。その時に公演場所やチケット代などの詳細についての企画書をお渡しいたします。お話は先着順で行わせていただきます。実際にお話させていただいた上でこちらでも参加をお願いするか判断をさせていただきます。ご了承ください。


応募締め切り:
応募締め切りは12月20日となります。この日までにご連絡くださいませ。



空降る飴玉社とは?
2014年12月劇団鬼灯・元座長の加藤薫が立ちあげた演劇団体。日常の延長線上にあるドラマチック、且つ”人生の切り抜き”を芝居にすることを目標とした作品づくりを行う。統一性の高い美術と環境や年齢、経験から来る人々のリアルを繊細に描いた会話劇が特徴です。次回は暮らしをテーマにした初のコメディ作品を行います。

2015年3月『ドロップストーリー~赤い飴、その味を忘れてしまったふりをして~』
2016年3月『So long, but』
2016年9月『レターツリーが紡ぐ時を、待ち侘びて』

@
tumblr:skycandydrop company



空降る飴玉社と、一緒に芝居をつくってみませんか?
ぜひご応募くださいませ。

2016.10.29
空降る飴玉社運営部

【次回公演2017年3月公演企画出演者の募集のお知らせ】

お疲れ様です。
空降る飴玉社運営部です。
2017年3月公演企画期間限定メンバーの募集についての変更と更新についてです。今回3月公演出演者募集と期間限定メンバー募集を別々に分けることに致しました。上記どちらかだけの参加も可能となっております。こちらでは3月公演の募集を行っております。



《3月公演企画出演者募集について》
2017年3月上旬予定の演劇公演の出演者を募集いたします。以下募集内容及び公演概要です。

募集内容:キャスト1名(三女・杏役)
内容詳細:
・高校生~30歳までの役者経験のある女性、または女性役に興味のある方。ブランクは問いません。
・2017年1月上旬~2017年3月10日(11日)までの参加が可能な方。
・2017年1月週4の稽古、2月週5の稽古に8割参加が可能な方。

活動場所及び稽古時間など:
稽古場所は主に京都市内の中京区、北区、左京区の青少年活動センター、またはいきいき市民活動センターとなります。また稽古時間は平日は18:00~21:00(22:00)、休日は13:00~17:00がメインとなります。

公演参加費:
出演者の方は10000円の参加費をいただきます。(チケットバック制)



2017年3月公演詳細
空降る飴玉社『四人姉妹とボルガライスと、それからと!』(仮題)

☂タイトル☂
『四人姉妹とボルガライスと、それからと!』(仮題)

旭井洋食店(1号店)は今日もなんだかんだで元気です!


☂あらすじ☂
「拝啓 町、竜子、杏、小夜へ
お前達に手紙を出すのはこれが初めてかもしれません。いきなりですが、お父さんはお母さんと一緒に、旭井家オリジナルのボルガライスを世界に広めるために、スペインに期間限定で旭井洋食店2号店を開店することにしました。いきなりのことで驚くかもしれませんが、父さんの10年越しの夢です。つきましては事後報告となりますが、杏、旭井洋食店(1号店)をしばらくの間よろしくお願いします。四人で協力して暮らしてくれ。  父・母より」

「………はあ!?」

旭井家には四人の娘がいる。ロリータファッションのアパレル店員で男運が壊滅的に悪い「長女・町」、七年振りに地元に戻ってきた雑貨の商品企画を行う会社員「次女・竜子」、就職活動に失敗し大学卒業後旭井洋食店を手伝っていた不運の星「三女・杏」、そして、絶賛思春期真っただ中で不登校の高校生「四女・小夜」。父と母からの手紙をきっかけに再び旭井家の四人姉妹が旭井洋食店(1号店)に揃う。

空降る飴玉社では初挑戦となるコメディ芝居。
地元で暮らすって?離れて仕事するって?学校って?姉妹って?
故郷・福井県の田舎での暮らしをモデルに人生(生活)を描く。
色々あるけれど、こ、コメディだから!あくまで、ベースはコメディだから!!!

 
『四人姉妹とボルガライスと、それからと!』(仮題)
日程:2017年3月9日~10日(4ステージ)
会場:一乗寺恵文社COTTAGE



参考までに:
過去加藤が書いた脚本を以下の問合せ先にご連絡いただいた方にお送りいたします。参加を迷われている方や、一度読んでみたい方もお気軽にご連絡ください。

応募・問い合わせ:
skycandydrop@gmail.comまでに以下内容をご連絡ください。
【件名】3月公演参加募集について
【内容】①名前(芸名)、②性別、③年齢、④ご自身の都合の良い日時

日程調整を行い、お話の場を設けさせていただきます。その時に公演概要やチケット代などの詳細についての企画書をお渡しいたします。お話は先着順で行わせていただきます。実際にお話させていただいた上でこちらでも参加をお願いするか判断をさせていただきます。ご了承ください。


応募締め切り:
応募締め切りは12月10日となります。ただし、出演者が決まった時点で締切日よりも先に締め切らせていただく場合もございますのでご了承くださいませ。



空降る飴玉社とは?
2014年12月劇団鬼灯・元座長の加藤薫が立ちあげた演劇団体。日常の延長線上にあるドラマチック、且つ”人生の切り抜き”を芝居にすることを目標とした作品づくりを行う。統一性の高い美術と環境や年齢、経験から来る人々のリアルを繊細に描いた会話劇が特徴です。次回は暮らしをテーマにした初のコメディ作品を行います。

2015年3月『ドロップストーリー~赤い飴、その味を忘れてしまったふりをして~』
2016年3月『So long, but』
2016年9月『レターツリーが紡ぐ時を、待ち侘びて』



空降る飴玉社と、一緒に芝居をつくってみませんか?
ぜひご応募くださいませ。

2016.10.29
空降る飴玉社運営部

小説:好きに語ろう『トリツカレ男』

こんばんわ、空降る飴玉社の加藤です。
一気に寒くなりまして、末端冷え性の私は手足が冷たい毎日を送っています。
汁物が美味しい季節になりましたね。私は何でも汁物にしてしまいます。お気に入りは白菜と大根と生姜のとろみスープです。うまいんですよ~腹もちもいいし、野菜美味しいし、体あったまるし…。これからもっと寒くなるし外せませんね…!

さて、今回も小説を好きに語って行きます!!
今回は加藤がここ近年で一番好きな作品……こちらです!


f:id:sky_candydrop:20161025233925j:plain
『トリツカレ男』いしいしんじ

ジュゼッペのあだ名は「トリツカレ男」。何かに夢中になると、寝ても覚めてもそればかり。オペラ、三段跳び、サングラス集め、潮干狩り、刺繍、ハツカネズミetc.そんな彼が、寒い国からやってきた風船売りに恋をした。無口な少女の名は「ペチカ」。悲しみに凍りついた彼女の心を、ジュゼッペは、もてる技のすべてを使ってあたためようとするのだが……。
まぶしくピュアなラブストーリー。



この小説は読書が苦手な人でも最後まで楽しみながら読める一作だと思います。
全部で160頁。ちょっとした時間の合間でも、気負わずにストーリーに入り込める優しさと世界観を持っています。この作品の魅力は何と言っても登場人物みんなが個性豊かなところ!そして主人公のジュゼッペとヒロインのペチカ、ハツカネズミ、タタンのメインどころの四人(三人と一匹)がとても情に深い。それぞれが起こす行動が、”それぞれの登場人物の為の行動”ばかりで溢れています。その誰かの為の行動が人を動かし、人を少しずつ変え、笑顔にしていく。それをとても間近で感じることが出来るのがこの作品です。読んでいて、きらきらとした気持ちが胸の底から溢れだしてくるような温かみがあります。

「トリツカレ男」のジュゼッペはトリツカレたものにはとことん極めていきます。いや、とことんトリツカレるのでしょうか……。寝ても覚めてもそればかりに熱中してしまう癖があります。そして、そのトリツカレたものに夢中になって奔走する姿は、はたから見たらきっと可笑しいのに、”辛い”部分も多いのに、少しもそれらを感じさせない。ジュゼッペのひたむきさは読んでいると、読んでいるこちらが「がんばれ!」と応援したくなるような、いいなと憧れるような気持に駆られます。そして、そのひたむきさの形に知らず知らず触れていくペチカの悲しみに凍った心が、少しずつ少しずつ溶けていくところにも、ほっこりします。
だけど、この『トリツカレ男』、そのままハッピーエンドに進んで行くわけじゃない。ペチカの心は溶けていく一方で絶対に溶けきらない”訳”があった。この最大の試練へのジュゼッペの行動にも、読んでいるこちらは固唾を飲んで見守ることしか出来ないのですが、読んでいる自分がジュゼッペの友達のハツカネズミの気持ちのようになりながら、この「トリツカレ男」の為に何かをしたくてしようがないと思ってしまいます。


この『トリツカレ男』最大の魅力はやはり「ジュゼッペ」という主人公にあるように思います。この一風変わった「トリツカレ男」がペチカの為に引き起こす奇跡。ジュゼッペとハツカネズミ、ジュゼッペとペチカ、ペチカとタタン、そしてジュゼッペとタタン………。トリツカレたから起きた奇跡の展開と人間模様と関わりは、他の作品ではなかなか見れない、純粋さとひたむきさと馬鹿な程の強いきらめきがあります。まさにピュアです。

そして、このジュゼッペが生まれ育った町の風景や、ペチカがジュゼッペと出会う前の思い出の風景も印象深く、場所や物からもその人となりを感じることが出来ます。登場するたくさんの場所やシチュエーションなどの世界観も、物語の色を濃く映してくれてます。ここにもぜひ注目して下さい。魅力的です。

少し疲れてる人や、ゆっくりしたい人にぴったりの作品だと思います。



もしよろしければ
『トリツカレ男』いしいしんじ
読んでみてください。



それでは、今日はこの辺で………。
暖かくしてゆっくり休んでください。
ではでは。


空降る飴玉社
加藤

小説:好きに語ろう『午前0時の忘れもの』

こんばんわ。
空降る飴玉社の加藤です。
先週あたりからグッと寒くなり、秋を吹っ飛ばして初冬のような寒さになりましたね。だと思ったら今日また少し暑くなりましたね。気温に振り回されがちな今日この頃、皆さんはどうお過ごしですか?
まだ紅葉の季節には早いみたいで、早く紅葉の綺麗に染まった木々が見たいなあと思っています。今年は去年より早く冬が早く来そうなので、今のうちから秋を堪能しておこうと、色々計画を立てています。

今回も加藤のおすすめの小説を語っていきます!


f:id:sky_candydrop:20161017185252j:plain
『午前0時の忘れもの』赤川次郎

愛していれば、奇跡もきっと起こる―――。
高速バスが湖に転落する事故で、四十人余りの乗客が帰らぬ人となってからちょうど一ヶ月。湖の底に沈んでしまった死者たちから愛する人たちへとメッセージが届く。メッセージに導かれ、深夜のバス・ターミナルに集まった人々が出会う不思議な出来事とは?

生きることの切なさと命の輝き、人を愛することの素晴らしさを描いた、赤川ファンタジーの傑作!


この小説は最初から最後まで楽しめる作品です。
中表紙を捲った後の始めのページにある著者からのメッセージ。このメッセージが、ファンタジー作品を書いたことのある自分は強く共感し、響き、胸を抉られました。そこから、この作品の深みとドラマチックさを噛みしめながら、ストーリーを楽しみました。
この作品の登場人物は出てくる全員がメインどころの個性や事情を抱えています。年齢も職業も、生きざまも様々です。そんな日常では触れ合う機会がない人達が、バス・ターミナルに集まり同じ時間を過ごす。それだけでもドラマが生まれる予感があります。そして集まった理由からも、それぞれのドラマを読み解くことが出来ます。この話は『再会』と『別れ』が同時に描かれています。よく死者と残された人達とのバランスが同率ではない作品は見かけますが、この作品はフィフティフィフティで描かれています。どちら側にも人生が見え、どちら側の心情にも共感できる部分がたくさんちりばめられています。死者だけど、生きていた頃と変わらぬその人達の言動や人となりがそのまま描かれていて、違うのは心臓が動いているかいないかだけです。『先行く人達のメッセージ』と『残された人達の未来』がどうか交わり続けますように、と願わずにはいられない作品です。
こんな奇跡、理屈で考えたらないだろうと思うけれど、それでも、この話みたいなことがこの世のどこかでは起こっていそうだと、期待するし、期待したいと思える、間違いない『人の奇跡』の話だと思う。
学生も社会人も、結婚している人も、失恋した人も、今を迷っている人も、抜けられなくなっている人も、きっと共感し、感動できる作品だと思います。
感動するってとても難しいことですからね。


赤川作品のもう一つの魅力は何と言っても作品のタイトルです。
どの作品でもタイトルと言うものは、作品の導入部分であり、作品の核の部分を担い、作品の比喩、作品の大筋のイメージと雰囲気を伝えてくれるものです。私は題名が作品の中見と同等に物書きとしては一番こだわるべきところだと思っています。本屋に入ると、まず一番最初に目につくのはタイトルです。そこから表紙のイメージ、裏のあらすじへと興味が移ります。やっぱり買うのは題名で選ぶことがダントツで多いですね。
赤川作品の題名はどれもドラマ性がある題名ばかりです。矛盾していたり、一見は合わせることない二つの単語を埋め込んで題名にしているものも多く、矛盾をはらんだ単語同士がつくる非常さが、題名の中にあるドラマへの期待を高めてくれます。そして使う単語が誰もが一度は耳にしたことのあるなじみの単語が多いです。その単語に私は安心して先入観なく、じっくりと作品に入ることが出来ます。今回紹介している『午前0時の忘れもの』も寝静まっている時間帯である”午前0時”のこんな時間帯に一体何の”忘れもの”を誰がしたのだろうと、時間帯×名詞の非常さが出ていて興味をそそられました。タイトルにもたくさんのドラマが詰まった赤川作品は、たくさんの体験をさせてくれます。これも赤川作品の魅力ですね!


もしよかったら、
『午前0時の忘れもの』赤川次郎
ぜひ読んでみてください。そこにはたくさんのきらめきと、リアルと、奇跡が詰まっていますので……。

それでは、今回はこの辺で。
秋の味覚たくさん楽しんでください。
では。




空降る飴玉社
加藤

先生とお茶してきました

こんばんわ、空降る飴玉社の加藤です。
この間の三連休、地元に帰り、恩師の一人とお茶をしてきました。

自分が書く脚本にはたくさんの先生と呼ばれる人たちが登場します。
小説家の先生や、担任の先生など……。
『河童』『EACH WAYS』『So long, but』『レターツリーが紡ぐ時を、待ち侘びて』には職種も性格も役割も全然形は違いますが、個性豊かな先生が登場しました。

私は高校時代三人の先生に大変お世話になりました。全員教師です。
そのうちの一人の先生とつい先日6年振りにゆっくりと話をしました。
地元の新しく出来たケーキ屋でお茶をしたのですが、話していて何故か懐かしいという感覚は無くて、もしかしてこれは自分が全く成長していないからなのか?と考えたのですが、よくよく感がえれば、その先生とは直接6年振りに顔を合わせてゆっくりと話をしましたが、顔自体は3年前にも合しているし、話はよく電話をしていたので、軽く久しいという気持ちでお会いしました。
それでも、6年振りに顔を合わせてゆっくりと話をすれば、やはり懐かしいと思う部分は多くて、6年前も先生にたくさんの話をして、たくさん相談に乗ってもらっていたなあと思いました。実は、大学入学するのもこの先生に相談をしていて、その時、先生に背中を押してもらったから今があると言っても過言ではありません。もう6年も経つのかとありきたりな感想ではあるけれど、実感をしました。まだまだ、発展途中だから、懐かしいよりももっと人生の切り抜きをした芝居をつくっていきたいという気持ちの方が何倍も強いので、実感は濃くはないけれども。

先生の娘さんは演劇の衣裳の仕事をしていて、先生自身も大学演劇をしていたそうで、今でも演劇をよく観に行くそうで、実はこの間の『レターツリーが紡ぐ時を、待ち侘びて』もご来場いただいていました。レターツリーの話をしつつ、次回の話もして。先生は前の私よりもたくましくなったと少しの思い出話もしました。


そこで気がついたことなのですが、先生が話す当時のことを、実は私はあまり覚えていなかったりします。いくつかの話をしていて、う~ん、そうだったような…?と私は言われて思い出したようないないような…ってことをたくさん覚えています。そうすると本当にたくさんお世話になったんだなあと思うのと、6年もほとんど会わなかった教え子とのエピソードを何年も覚えていてくれる、先生って存在はこれからの人生ではあまり現れてくれないんだろうなとも思います。
私はもう大学を卒業して、社会人になって数年が経ちます。空降る飴玉社の前に劇団鬼灯と言うところで座長をしていた頃から換算するともう5年近く組織のトップを担わせてもらっているけれど、人生を更新できているかどうかは正直分かりません。もちろん前出来なかったことが出来るようになったことはたくさんあって、自覚をすることもあるけれど、多分それが成長であって更新だと思うのですが、まだ足元がふらふらしていることが多いような気がします。
色んな事に迷う事が増えて、自分を崩さない為に割り切ることが増えたからでしょうか。そして悩むことは減りました。社会人になって学生の頃より、自分の足元を良く見るようになったからだと思います。自分の立ち位置とか、自分の役割とか、ここで体力を使っていられないとか、色々。その度に、自分の出し方や自分が分からなくなったりします。自分を理解しようとか、自分を出して行こうとか考えるけれども、なかなかどうしてこれが難しいんですね。
先生の話を聞くたびにあの頃の自分はまだまだ未熟だったけれど、見てくれる人がいて、もっと自分で直球勝負してた気がします。

まあ、これからに関しては自分が努力して、勝負して、立ち回って行くしかないと思うので、ある意味で自分の発言自分の行動が全てになったことを自覚したし、ひとつひとつ踏みこんで行くしかないのですが。


地元に帰って、先生とゆっくり話が出来て、楽しかったです。まだまだ頑張れそうだし、また背中を押してもらいました。
私にとって先生は、親や友達とは違う、変わった存在です。学生の頃に10代の頃に、居てくれたから、こうやって自分のやりたいことに向きあえているんだろうなって思います。自分の人生と向き合ってくれた人達だと思います。


過去にアンケートで「加藤さんは素敵な大人に恵まれたんですね。」という言葉をもらったことがあります。

当時はそうか?と思っていましたが、今は、そうだな。と思います。
こういう変化だとか、当時は気付けなかった大きさだとか、それを改めて、先生と話して気づかされました。この変化をこれからの作品に乗っけれたら面白いんだろうなと、思っています。


たくさん話が出来て、直接会う事が出来てとても素敵な時間でした。次回作も新しい気付きを持って作品に挑みたいと思います。
それでは、最近朝と夜が冷えるようになったので、季節いの変わり目の風邪にはお気を付け下さい。
それでは、おやすみなさい。



空降る飴玉社
加藤