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BLOG

京都で活動する演劇団体『空降る飴玉社』のブログ「レターツリーが紡ぐ時を、待ち侘びて」全公演無事終演いたしました。ご来場いただいた皆様ありがとうございました!

小説:好きに語ろう『ふたたびの虹』

こんばんわ。
空降る飴玉社加藤です。


さて、今回は公演が終わって少しゆっくりしたところですし、加藤が読んだ本を紹介します!
一週間から二週間ごとに紹介していく予定ですので、よろしければお酒の肴などにどうぞ。
加藤は芥川龍之介灰谷健次郎作品がとても好きで、芥川龍之介の『河童~どうかKappaと発言して下さい。~』を脚本に起こしたものを上演したこともありました。この二人の作品もどこかで紹介していきたいです!

好きなものを好きに語ってしまおうのスタンスで語って紹介していきますので、お気軽にどうぞ!


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『ふたたびの虹』柴田よしき

「こんなお店、あったらな…」
ひとり静かに飲みたい夜を、幸せにしてくれる場所がある

東京・丸の内の片隅にある小料理屋「ばんざい屋」。女将の作るちょっぴり懐かしい味に誘われて、客たちが夜な夜な集まってくる。クリスマスの嫌いなOLの悩み、殺された常連客がひそかに抱いていた夢、古い指輪に隠された謎と殺意……。数々の人間模様をからめながら、自らも他人(ひと)にいえない過去を持つ女将が鮮やかに解決する恋愛&ヒューマン・ミステリーの傑作。


ヒューマン・ミステリー。人同士が交わることによって起こっていくストーリーの転換と、連作短編ならではの脇役が主張しすぎないバランスの良さがあります。女将が出す京料理”おばんざい”が話の雰囲気を優しくまろやかに、しっとりに仕上げるので、夜のゆっくりしている時に私は読んでました。連作短編がもともとドラマでも好きな形式なので、主人公が一歩引いたところにいて、それぞれの短編の中のメインになる脇役の隣にしとやかに佇んだ存在感もとても読みやすく、あっという間に一冊読み終える、リラックスしてじっくりと楽しめる作品です!
一冊の中にたっぷり七話。それぞれにでてくるおばんざいがもう、食べたい…!私は、”桜飯”これが一番心惹かれました…!文章から優しさや、側に寄り添ったような甘みあるおばんざい達の雰囲気が伝わってきます。食べたことないのに、懐かしさで満たされます……。

七話、それぞれに他人の人生が描かれています。主観的すぎるわけでもなく、客観的すぎるわけでもない。私はこの小説の、心地のいい距離感で最後まで付き合えました。それぞれの脇役たちの人生全てが見えるわけではもちろんないけれど、ところどころにその人の暮らしや生き様が見えて、奥に隠された哀しみや途方もない葛藤や、いつまでも取れない記憶の引っかかりが所々に見えて、その登場人物の中に入ることも、全体を見渡して読むことも出来る、何回でも違う読み方で楽しめます。

この『ふたたびの虹』は続編があるのと、ドラマ化された小説です。映像を私はまだ観れてないのですが、文字や言葉から情景が浮かんでくる小説なので、それが映像にした時にどういう視点で作ったのか、色とりどりで優しいお万歳はどういう見た目で出てくるのかとか、女将はどういう人柄と滲みをしているのだろうかととても気になっています。あー、早く観ないとなあ……。

この小説、ただただ綺麗じゃない。そこにはリアルな人生の感情があって、でも人生を歩んだからこそある深みと、女将のしなやかで素朴で、でも華のある存在が魅力ある小説です。

もしよかったら読んでみてください。一押しです!


では、今回はここでお邪魔します。
ではでは、おやすみなさい……。




空降る飴玉社
加藤